「選定療養」とは、保険診療との併用が認められている保険外診療の1つで、①快適性・利便性にかかるもの②医療機関の選択にかかるもの③制限回数を超える医療行為―が該当します。よく知られているものに、特別な療養環境の提供(いわゆる差額ベッド)、200床以上の病院に紹介状なしで受診した場合に初診時や再診時の窓口負担(1~3割)とは別に徴収される負担、時間外診療時の負担などがこれに該当し、その費用は全額自己負担となります。
2024年度の診療報酬改定の一環として、後発医薬品が存在する長期収載品(特許切れ先発医薬品)の使用についても、10月から選定療養の仕組みが導入されました。
選定療養の対象薬剤は、長期収載品のうち、国が定めた一定の基準に該当した1095品目(445成分)となります。
これは医療上の必要性がない中、あえて後発医薬品ではなく長期収載品の使用を希望した場合、患者が特別料金を負担する仕組みです。これはより後発医薬品を利用してもらい、患者負担と保険給付の両方を軽減することが目的です。
そのため、例えば “使用感”や“味”など薬の有効性に関係のない理由で長期収載品の使用を希望する場合に、長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1相当を特別料金として負担することになります(下図参照)。
ただし、流通の問題などにより、医療機関等に後発医薬品の在庫がない場合は特別料金を支払う必要はありません。
「無断転載禁止」