私たちは医療機関を受診した場合、かかった医療費の原則3割に相当する自己負担を窓口で支払います。しかし、入院などで1カ月(歴月)の自己負担が一定の上限額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた分を患者に「高額療養費」として払い戻す仕組みがあります。超過分の払い戻しは、健保組合など加入している医療保険者が負担しています。
この高額療養費制度。当初予定されていた今年8月からの自己負担限度額の引き上げが石破茂首相の判断で見送られるなど、国会の場や新聞紙上等でも大きく取り上げられ、ご存じの方も多いと思います。
高額療養費の支給は、申請後、レセプトの審査を経て行われますので、受診した月から少なくとも3カ月程度かかります。後に払い戻されるとはいえ、窓口でいったん医療費の全額を支払うのは大きな負担です。
ただ、マイナ保険証(健康保険証の利用登録を行ったマイナンバーカード)を利用すれば、窓口での支払いは自己負担限度額までで済みます。加入している保険者から事前に限度額適用認定証の交付を受けることで、窓口での支払いが自己負担限度額で済む仕組みもありますが、マイナ保険証を利用すれば、認定証がなくても窓口での超過分の支払いが不要となります。こうした手続きの簡略化はマイナ保険証の大きなメリットの1つといえます。