政府は6月21日、国の予算編成や経済財政運営の指針となる「骨太の方針2024」を閣議決定しました。骨太の方針では、多岐にわたる課題を取り上げていますが、少子高齢社会における医療・介護等の課題についても言及しています。
少子化といえば、厚生労働省が同月5日に公表した2023年の人口動態統計月報年計(概数)では、出生数が72万7277人で8年連続減少し過去最少を記録、女性が一生の間に産む子どもの数を表す合計特殊出生率も1.20と過去最低を記録したことが分かりました。一方、死亡数は157万5936人、自然増減数は△84万8659人と17年連続の減少で過去最大です。
こうした中で決定された骨太の方針では、経済・財政・社会保障の持続可能性を確保するためには、人口減少が本格化する2030年度までが経済構造の変革を促すラストチャンスであるとし、欧米並みの生産性上昇率への引き上げ、高齢者の労働参加率の上昇ベースの継続や女性の就業の正規化促進など、わが国の成長力を高める取り組みが必要としています。
社会保障分野では、医療・介護の担い手を確保し、より質の高い効率的な医療・介護の提供体制を構築するため、政府を挙げて医療・介護DXを強力に推進するとしています。そのための具体的な課題として、ロボット・デジタル技術やICT・オンライン診療の活用などを挙げています。さらに、12月2日からマイナ保険証を基本とする仕組みに移行するほか、全国医療情報プラットホームの構築、電子カルテの導入や電子カルテ情報の標準化、電子処方箋の普及拡大などを推進するとしています。
この数十年で人口や社会の構造、さらに人々の働き方は大きく変わりました。今後、社会保障の持続可能性を確保していくためには、医療・介護を含む社会全体のDXを推し進めていくことが、今回の骨太の方針が求めている取り組みの1つであるといえそうです。
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