お知らせ

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2020年09月01日
健保組合の事業と医療保険制度の現状

 皆さんの給与から毎月天引きされている健康保険料は、収入を一定の幅で50等級に分けた「標準報酬月額」をベースに、健保組合ごとの保険料率を掛けて算出されます。これに事業主負担分を加えた額が、加入している健保組合に納められます。

 健保組合の主な仕事は「保険給付」と「保健事業」です。医療機関を受診したときに窓口で原則3割を支払い、残りの額は審査支払機関を通じて健保組合が支払います。これが保険給付です。出産や傷病による休職などの際の手当金の支給なども行います。他方、保健事業は加入者の皆さんが健康的な生活を送るためのサポートを行うもので、健康診査やがん検診、生活習慣病予防、禁煙、メンタルヘルス対策、運動習慣の推奨などがあります。

 近年、高齢化や医療技術の進歩、新薬の開発などにより医療費は増え続け、特に高齢者医療費の増加は著しいものがあります。そのため2018年度には、皆さんの健康保険料の41.8%ほどが、高齢者医療費を支える、「拠出金」として使われました。2022年からは団塊の世代が75歳以上になり始め、拠出金の負担が急増する「2022年危機」が目前に迫っており、健保組合の存立に関わる深刻な事態になっています。

 現在、毎年増加している医療費を抑制し、現役世代の過重な負担に歯止めをかけるためにも、医療保険制度改革の必要性が論じられています。

 私たち1人ひとりが取り組めることもあります。まずは、医療費の無駄を減らすことです。例えば、同じ症状で複数の医療機関を受診する「はしご受診」、急病でもないのに深夜や時間外、休日に受診する「コンビニ受診」は控えましょう。これらは時間外加算などによる医療費の増加だけでなく、薬の重複処方や救急医療の妨げ、医療従事者の疲弊にもつながります。

 こうした無駄が生まれる理由の1つに、私たちが制度や医療、薬などについて正しく理解していないことが挙げられます。信頼できる正確な情報を手に入れましょう。まずは、皆さんの健康状態を把握し、適切な治療やアドバイスをしてくれる「かかりつけ医」、そして気軽に薬の相談ができる「かかりつけ薬局・薬剤師」を持つことをおすすめします。また「ジェネリック医薬品」の積極的な利用も増加する薬剤費の抑制につながります。

 岐路に立つ日本の国民皆保険制度。私たち加入者1人ひとりが、制度を支えていることを理解し、自分ごととして、制度の行方に関心を持ち続けることが大切です。

監修:大野太平

 

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