お知らせ

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2019年09月01日
老後2000万円問題から 年金と医療の現状を考える

 先の通常国会は終盤、「老後資金が2000万円不足する」とする金融庁の有識者会議の報告書に端を発した年金問題で大荒れになりました。参院選の争点として野党が大きく取り上げ、マスコミも連日、特集を組んだこともあり、大いに国民の耳目を引いたのは記憶に新しいところです。

 「2000万円不足」が一人歩きした格好ですが、よくよく考えれば各人の家族構成や年齢、ローン、預貯金、退職金などによって老後資金の必要額は変わってきます。さらに、日本年金機構は毎年、被保険者の誕生月に、前年に支払った保険料の額に加え、将来の年金の見込み額(50歳以上が対象)を通知しており、中高年の人にとっては、ある程度の生活設計の目安にもなっています。年金を老後の生活の柱に据えつつ、足りない部分を今からどう備えていくかという冷静な視点が大切です。

 社会保障の中心は年金と医療ですが、大きな違いは保険料の取り扱いです。年金保険は最低でも10年以上、保険料を納めることで、年金を生涯受け取ることができる“長期保険”ですが、医療保険は単年度の収支均衡が求められる“短期保険”です。そのため、原則、65歳から給付が始まる年金保険と異なり、医療保険は毎年度、限られた保険料を財源に、厳しい運営を強いられている状況にあります。

 誤解を恐れずに言えば、高齢化に伴う医療費の問題は年金以上に深刻です。2022年から団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始めることで医療費が増大する一方、これを支える現役世代は少子化で年々減少しており、その負担が限界に達しようとしているからです。

 金融庁の報告書は、国民の公的年金制度に対する関心をこれまでになく高めました。同様に、「誰でも」「いつでも」「どこでも」必要な医療が受けられる国民皆保険制度も、実は財政が危機的な状況にあることに、ぜひ注目してもらいたいと思います。

 

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